マンゴーの花は満開なのに
分園のパパイヤ温室ではマンゴー(Mangifera indica)の花が満開になっている。ウルシ科で東南アジア原産だ。濃密な息の詰まるような臭いで、媒介昆虫のハエを呼ぶ臭いだそうだ。1973年、私がメキシコ滞在中、松田先生のチアパス州でのフィールドワークにお供した際、ベラクルスを通過する時、一面に続くマンゴー畑のマンゴーが満開で、その強い臭いに驚いたことがある。ところが、分園の温室、これだけ咲いていてもハエは1匹も飛んでいないで静かなものだ。勿論ミツバチも飛んでいないし、このままでは交配結実は不可だ。昔話題になった本でレイチェル・カーソンの「沈黙の春」がある。パラチオン=ホリドールの薬害で昆虫が死滅し、虫の飛ばない、交配昆虫の居ない春を沈黙と春と題して、薬害の恐ろしさを訴えたものだ。日本で農薬の薬害が話題になるようになったのはそれからだ。でも当園の温室は、ここのところ消毒などしていない。それでも虫が来ないから異常なのだ。マンゴーは開花時、枝を揺らせば、花粉が飛んで、最低限の交配は可能だが、ミツバチなども滅多に見ない。我が家のシャクナゲモドキが満開の時には蜂の羽音がうるさいほどだったが、それ以外で蜂を意識することは少ない。昨日のテロペアも満開で、下に蜜がベタベタと滴れてているが、やはり蜂はいない。

次は果樹温室のセレージャ(Eugenia involcrata)とゴレンシ(Averrhoa carambola)だ。セレージャは先だって花が満開だと思っていたら、もう黒い実が鈴なりになっている。ゴレンシも2度目の結実ピークを迎えている。セレージャはフトモモ科でブラジル原産。ゴレンシはカタバミ科で東南アジア原産だ。


次は中庭の球根類で、藤色のモラエア・アリスタータ(Moraea aristata)、白青のビローサ(M.villosa)、黄色からオレンジのオクロリューカ(M.ochroleuca)、橙色のブレイニアーナ(M.breyniana)だ。




それから白花のスパラキシス・ブルボーサ(Spalaxis bulbosa)、そして分園入り口で鉢植えになっているモラエア・ギガンドラ(M.gigandra)だ。以上全てアヤメ科で南アフリカ原産だ。

最後に中庭土手で咲いているシラユキゲシも紹介する。ランナーで良く増え、中国原産でケシ科だ。

この記事へのコメント
受粉は松田先生と学芸員さん達の様な旅人がむさぼる事で、成功しますね😊
松田先生は当時80歳以上だったと思いますが、私もそろそろそんな歳に近づいています。10年一昔と言いますが、私にとっては50年一昔ですね。