奄美大島のカイガラムシ被害について
明日は早朝から出かけるので、今日明日の分をアップしておく。
以下は、友の会会報4月号原稿の引用だが、奄美大島におけるカイガラムシ被害の危機的状況を解説しているので、ここに引用する。
この正月の 5 日頃だったと思うが、大阪のソテ ツ愛好家、高梨裕行氏より分厚い封書が届いた。 開いて見ると奄美大島におけるコナカイガラム シ、オウラカスピス・ヤスマツイ (Aurtacaspis yasumatsui)の被害が 700 株に及び、由々しい事態との手紙と、氏のレポート、パワーポイント画面を印刷した英 文の報告文が同封されていた)。fetchAttachment-3.pdffetchAttachment-3.pdf 私はフロリダで本種が猛威をふるい、彼の地のサゴ・パームこと日本のソテツ(Cycas revoluta) が全滅したことを知っていたし、グアム島のサイカス・ミクロネシカ(C.micronesica )、台湾のタイワンソテツ(C.taitungensis )も全滅させた事を知っていたので、すぐにピンときた。とうとう日本にも上陸したのかという驚きである。 また過去の経緯の中で、グアムでは天敵を放って、生物学的コントロールにもトライしていた事 を知っていたので、その後被害は治まったもの思っていたのである。また本来の生息地、東南アジアに近い日本には、天敵も生息しているのではないかと、甘い期待を持っていたこともある。そのカイガラムシが 15 年もの空白期間を経て日 本に出現したのは大変な驚きであった。高梨氏には、私がワニ園でソテツを担当し、40 年以上カイガラムシの被害に苦しみ手を焼いていることを報告し、カイガラムシの手強さを強調した。勿論、氏からは私がソテツに明るいから、このアウトブレークをコントロールするため、手を貸して欲しいという依頼だったのだ。




そこで私に出来ることを考えた結果、まず日本植物園協会会長、水戸市植物公園の西川綾子園長に連絡し、植物園協会として動いて欲しいと連絡することだった。ついで筑波実験植物園の遊川さんにもメールし、国立科学博物館として動いてもらうようにお願いした。更に園芸文化協会に連絡し、園芸関係者に状況の説明、千葉大の園芸学部の花葉会にも情報の普及をお願いした。マスコミ関係ではNHK趣味の園芸編集部と、誠文堂新光社の農耕と園芸編集部に連絡し、事の重大さを説明し、印刷物を通じて情報の普及に努めてくれるように依頼した。
私の想定では、最悪の場合、奄美大島のソテツは 3 年で全滅、沖縄全域のソテツも 10 年以内に全滅するのではという、とんでもない内容なのだ。勿論、既に奄美大島でも対策に動いているようだから、簡単に全滅ということはないだろうが、カイガラムシの手強さを知る私としては、用心の上にも用心を重ね、最善の手段で対策に動いて欲しいと思うのだ。 幸い千葉大の花葉会からは「当会会長の渡辺均教授より農林水産省農産局園芸作物課へメールを転送させていただきました。」という頼もしい返信が届き、一安心。日本植物園協会の西川会長からも早速理事会で対策を協議するとのお返事。園芸文化協会や、趣味の園芸、農耕と園芸からも積極的に協力する旨のお返事をいただいている。また現在カイガラムシ駆除の最前線で戦っている鹿児島県森林技術総合センターのホームページから写真を引用する許可も得ている。ただ今回、画像が鮮明に取り出せなかったので、本種の被害の第一発見者、奄美大島の内山大輔氏の画像を掲載している。全山枯れたソテツに覆われている様が、このカイガラムシの恐ろしさを如実に物語っている。
いずれにせよ、ワニ園が長年に渡って培ってきたコネや人脈があるからこそ、このように迅速な対応が出来たのであって、後は事が良い方へ動くように祈るばかりだ。ただカイガラムシは手強いよ、というのが私の 40 年以上にわたるソテツ管理から得た経験で、言うほど簡単なことではないことは、皆さんにも承知しておいて頂きたい。大変だよ。
以下は、友の会会報4月号原稿の引用だが、奄美大島におけるカイガラムシ被害の危機的状況を解説しているので、ここに引用する。
この正月の 5 日頃だったと思うが、大阪のソテ ツ愛好家、高梨裕行氏より分厚い封書が届いた。 開いて見ると奄美大島におけるコナカイガラム シ、オウラカスピス・ヤスマツイ (Aurtacaspis yasumatsui)の被害が 700 株に及び、由々しい事態との手紙と、氏のレポート、パワーポイント画面を印刷した英 文の報告文が同封されていた)。fetchAttachment-3.pdffetchAttachment-3.pdf 私はフロリダで本種が猛威をふるい、彼の地のサゴ・パームこと日本のソテツ(Cycas revoluta) が全滅したことを知っていたし、グアム島のサイカス・ミクロネシカ(C.micronesica )、台湾のタイワンソテツ(C.taitungensis )も全滅させた事を知っていたので、すぐにピンときた。とうとう日本にも上陸したのかという驚きである。 また過去の経緯の中で、グアムでは天敵を放って、生物学的コントロールにもトライしていた事 を知っていたので、その後被害は治まったもの思っていたのである。また本来の生息地、東南アジアに近い日本には、天敵も生息しているのではないかと、甘い期待を持っていたこともある。そのカイガラムシが 15 年もの空白期間を経て日 本に出現したのは大変な驚きであった。高梨氏には、私がワニ園でソテツを担当し、40 年以上カイガラムシの被害に苦しみ手を焼いていることを報告し、カイガラムシの手強さを強調した。勿論、氏からは私がソテツに明るいから、このアウトブレークをコントロールするため、手を貸して欲しいという依頼だったのだ。





そこで私に出来ることを考えた結果、まず日本植物園協会会長、水戸市植物公園の西川綾子園長に連絡し、植物園協会として動いて欲しいと連絡することだった。ついで筑波実験植物園の遊川さんにもメールし、国立科学博物館として動いてもらうようにお願いした。更に園芸文化協会に連絡し、園芸関係者に状況の説明、千葉大の園芸学部の花葉会にも情報の普及をお願いした。マスコミ関係ではNHK趣味の園芸編集部と、誠文堂新光社の農耕と園芸編集部に連絡し、事の重大さを説明し、印刷物を通じて情報の普及に努めてくれるように依頼した。
私の想定では、最悪の場合、奄美大島のソテツは 3 年で全滅、沖縄全域のソテツも 10 年以内に全滅するのではという、とんでもない内容なのだ。勿論、既に奄美大島でも対策に動いているようだから、簡単に全滅ということはないだろうが、カイガラムシの手強さを知る私としては、用心の上にも用心を重ね、最善の手段で対策に動いて欲しいと思うのだ。 幸い千葉大の花葉会からは「当会会長の渡辺均教授より農林水産省農産局園芸作物課へメールを転送させていただきました。」という頼もしい返信が届き、一安心。日本植物園協会の西川会長からも早速理事会で対策を協議するとのお返事。園芸文化協会や、趣味の園芸、農耕と園芸からも積極的に協力する旨のお返事をいただいている。また現在カイガラムシ駆除の最前線で戦っている鹿児島県森林技術総合センターのホームページから写真を引用する許可も得ている。ただ今回、画像が鮮明に取り出せなかったので、本種の被害の第一発見者、奄美大島の内山大輔氏の画像を掲載している。全山枯れたソテツに覆われている様が、このカイガラムシの恐ろしさを如実に物語っている。
いずれにせよ、ワニ園が長年に渡って培ってきたコネや人脈があるからこそ、このように迅速な対応が出来たのであって、後は事が良い方へ動くように祈るばかりだ。ただカイガラムシは手強いよ、というのが私の 40 年以上にわたるソテツ管理から得た経験で、言うほど簡単なことではないことは、皆さんにも承知しておいて頂きたい。大変だよ。
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