ムチムチの鳥羽玉
サボテンの中でも幻覚を引き起こすアルカロイド、メスカリンを含む鳥羽玉(Lophophora williamsii)は有名植物で、アメリカでは採集禁止の上、栽培も販売も禁止されていたと思う。ところがこの鳥羽玉、日本のような水気の多い環境で育てるとたちまち大きく成って、アルカロイドは蓄積されないということらしい。水っぽくて使い物にならないということだ。今日、現地採集の鳥羽玉は全く輸入されないので、国内に流通している鳥羽玉は全て栽培繁殖品で、麻薬成分は含まれないと言っていいだろう。だから国内でこれらの栽培には何の規制もない。現地では50年、100年かかってメスカリンを含む太くて硬い根茎状の幹をつくるのだが、日本では数年で成品にしてしまうのだから、根だって水っぽいカブのようだ。そんな鳥羽玉、刺はないし、肌はむちむちして手触りが良いし、花は可愛いときているから私の好みだ。ましてこの時期、高温多湿の温室で、パンパンに膨れた鳥羽玉は、生育も旺盛でむくむく大きくなるし、花もひっきりなしに咲く。ということで今日は鳥羽玉特集だ。最初の写真が最もオーソドックスな鳥羽玉でメキシコ中部からアメリカまで広く分布していて、ウイチョルというインディオが儀式に使うため採集するのがこの植物だ。2枚目は同じ鳥羽玉でも稜の少ない大型タイプ。私が学生の頃、鶴仙園で買って以来、45年位育てているが、親株のサイズは変わらず、子供が増えて5号鉢一杯になったということ。成株になると育ちの遅い植物なのだ。次は紅花鳥羽玉言われるタイプで、花の色が濃くてとても綺麗な花を付けるタイプ。雑種起原とも言われているが、綺麗な植物だ。次はロフォフォラ・コエレシアナ(L.koeresiana)という小型タイプの鳥羽玉。新しい種で、小さいというのが特徴だったが、実際に育ててみると結構大きくなるので、サイズ的には鳥羽玉の変異と見て問題ないだろう。ただし花がとても大きくて、直径で倍位あるから、まったく同種とは認められず、変種扱いが今日の流れか。最近、さらに小型で親指大のアルベルト・ボジェティー(L.alberto-bojtechii)という種が記載されたが、それはこれからの調査課題だ。次に銀冠玉(L.fricii)と呼ばれる大型タイプの鳥羽玉がある。これは鮮明なピンクの花で、生育も旺盛。鳥羽玉と種が分けられているように、腐り方まで違うというのが亡くなった平尾さんの弁だった。そして最後がロフォフォラ・ディフーサ(L.diffusa)で、本属の最南端に分布する植物で、金鯱の自生地に近いところだ。肌色が黄緑っぽくて、花もクリーム色がかり、鳥羽玉とは一目で区別できる。これらが、今我が家の温室ではパンパンに膨れ上がり花も咲かせて、まさにお色気で私を悩殺する勢いだ。写真は4枚目がコエレシアナ、5、6枚目が銀冠玉でどれも原産地はメキシコ。
この記事へのコメント
どうもありがとうございました。
麻薬成分目的ではないですが、そういった云われのある植物は神秘的で魅力を感じます。(なんでも現地の呪術師が儀式に使うとか)
伊豆に越してきてからうちのロフォフォラは良く花が咲きます。
気候が合っているのでしょうか。
また是非 温室を見学させて下さい。
ブログの更新 楽しみにしております。